馬と過ごした幼少時代
2018/05/07
私が幼少時代を過ごしたイギリスでは、町中でも郊外でも、馬はとても身近な存在でした。その頃には馬に代わってトラクターが農作業の主力となっていましたが、ウェールズでは馬が馬車を引いて干し草を運び、町では荷馬車が石炭やパンや牛乳を家庭に、そして、ビア樽をパブに運んでいました。
イギリスの近衛兵は輝く胸当てとヘルメットを着用した騎兵隊と、熊の毛皮でつくられた高帽子をかぶった歩兵隊から構成され、女王と来賓は馬車でバッキンガム宮殿へと向かいました。また王室だけではなく、裕福な家庭や、幸運な家庭はやはり馬車に乗っていましたし、自動車は馬車に道をゆずるという暗黙のルールもありました。
私が生まれ育ったウェールズ地方には野生に近いポニーがいました。8歳になった私は、ポニーに近づき友だちになることを祖父から学び、ポニーの背にまたがってはコマンチェ族の戦士やカウボーイ、また戦争に向かう騎士や、野性的なモンゴルの戦士になったつもりで遊んだものでした。
12歳になったある時、叔父から、馬と小さなたくましいウェルシュ・コブを一頭ずつと、サドル、鐙、勒と手綱をあてがわれ、山から羊を連れてきて、毛を刈ったり、皮膚病や寄生虫を予防するための処置を手伝うことになりました。その時に感じた貴族になったような気持ちは今でも忘れません!また、その頃から私はたい肥にするための馬や豚、牛や鶏の糞を集める仕事を手伝うようになりました。それはとても臭くて大変な仕事でした。しかし、その分、農家のおいしい食事や時にはアップルサイダーを味わうことができました。